インド特集その②『言語編』
更新日:7月8日
インドの言語は数えきれない?
-多様性の国インドの言語事情-
インドには、国内で約460前後もの言語があると言われていますが、一説には、方言を含めると1600を超えるとも。
正確な言語の数はインド人にも分からないのかもしれません。
数ある言語のうち、ヒンディー語を含む22言語がインド憲法で正式に認知されていて、公用語と準公用語として、ヒンディー語と英語の二言語の使用が定められています。
言語圏が違う方とはどちらかの言語で話をするため、コミュニケーションに困ることはないとか。
インドの紙幣も多数の言語圏に対応していて、ヒンドゥー語と英語の他に15の言語で記載されています。
1)ヒンディー語
主にインドの中部や北部で話されている、憲法に定められた公用語。
デリー首都圏でも公用語として使われています。
インドで最も多くの人に話されているものの、話せるのは全国民の4割にも満たないとか。
しかしながら、世界では中国語、英語に続いて3番目に多く話されている言語です。
中国を抜いて人口が世界一となるインド、ここでも人口の多さがうかがえますね。
2) ベンガル語
ベンガル語はインドの東部、特に西ベンガル州とトリプラ州で公用語として話されていて、バングラデシュの国語でもあります。
インド国内においてもヒンディー語に続いて2番目に多く話されている言語です。
1913年にアジア人初のノーベル賞を受賞した、詩人ラビンドラナート・タゴールはベンガル州(コルカタ)の出身で、インド国歌を作詞・作曲したことで有名です。
現在、インド国歌はヒンディー語で歌われていますが、元々はタゴールがベンガル語で作った作品なんですよ。
3)テルグ語
テルグ語はインドの南部、アンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州で主に話される言語であり、州の公用語です。
日本でも公開され話題となったインド映画「バーフバリ」や「RRR」はテルグ語の映画なんですよ。
16世紀に実在した南インドの王様クリシュナデーヴァラーヤは、「テルグ語が世界で一番美しい言語」と詩に残したとか。
そのためか、南インドの古典声楽にはテルグ語が多く使われています。
4)英語
インドの公用語の一つ。法律文書や政府の公式文書、教育機関、ビジネス等において英語が使用されています。
また、インド国内で異なる地域の人々がコミュニケーションを取る際の共通語としても使われています。
英語は、過去のイギリスによる植民地支配下で行政、司法、教育の分野で使用されたことで急速に広まりました。
その後、国内で共通の言語が必要とされたことや、ビジネスにおける英語圏とのコミュニケーション手段としての役割など、複数の要因が組み合わさって公用語としての地位を確立しました。
5)タミル語
南インドのタミル・ナードゥ州やスリランカ北部および東部で主に使われています。
90年代に大ヒットした映画「ムトゥ踊るマハラジャ」は当時、日本でも注目されましたね。
ヒンディー語映画界は「ボリウッド映画」と呼ばれ、インド映画の代名詞になっていますが、それに対してタミル語映画界は「コリウッド映画」と呼ばれています。
また、タミル語には日本語との共通点もあって、基本母音が似ていたり、文法や文章構成の基本的な語順が一緒だったりするんですよ。
タミル語圏の方が日本語を話されると、非ネイティブの方特有の癖が無く、聞き取りやすいんだそうです。
多くの言語が共存するインドでは、公用語以外に出身地の言語を含めて3か国語を話す方もいて、ビジネスにおいては有利に働くこともあるとか。
インドの言語環境を理解することは、現地の歴史や文化、ビジネス環境への理解に繋がるのかもしれません。